アラサー隠居

都心のサラリーマンから田舎の山麓に住む「隠居」に転身したアラサー男が、孤独な生活や持病のIBS(過敏性腸症候群)にちなむ体験談、本などを紹介します。

貯金の増加が労働意欲を奪う 隠居の理由#2

経済的な事情も、隠居生活を選ぶ大きな理由でした。幸いにも、私がいた会社の給料はコロナ禍の影響を受けませんでした。一方、自粛生活により出費は大きく減少。月々の収支(収入から支出を引いた額)はプラス10万円を超え、「身を粉にしてまで、独身が食っていくのに十分すぎる収入を稼ぎ続ける必要があるのだろうか」という疑問が生まれました。

 

コロナ禍「前」の私の収支は毎月、ほぼトントンで、年2回のボーナスを貯金に回していました。今振り返ると、手取り収入とほぼ同額の20万円前後を毎月消費していたのは過大だったと感じます。

何にそんなにお金を使っていたのか。家計簿アプリ「マネーフォワード」のデータを振り返ると、趣味の旅行や、友人・仕事関係の人との飲み会がほとんどでした。自粛生活で「旅行」「飲み会」という二大出費がゼロになったことで、月々の支出がほとんど最低限の生活費のみとなり、10万円以下に減ったのです。

 

そこで浮かんだのが、「今までの消費は、本当に生活の幸福度を上げていたのか?」という疑問でした。

飲み会は社内の上司・先輩・後輩や、社外の仕事関係の人とのものがほとんどで、いわば「お付き合い」といった性質のもの。

旅行も、社会人らしい、せいぜい2泊3日の小旅行に飽きていたところでした。職場が変わる前は一週間強の休暇を取得して「旅」もどきを楽しむことができたのですが、異動後の職場ではワークフローの都合上、長い休暇を取れなかったのです。

 

余剰資金の代わりの使い道も考えましたが、なかなか思いつきませんでした。経営難に直面する飲食店などのクラウドファンディングに参加するなどしましたが、流石に、多額の資金を定期的に注ぎ込むほどのボランティア精神はありませんでした。せいぜい、UberEatsを頻繁に使うようになって、食費が膨らんだくらいです。

自粛中に割く時間が増えた「読書」や「自宅でギターをつま弾く」といった行為にも、それほどお金がかかりません。

 

こうした状況のなか、ボーナスの使い道もなく、貯金がハイペースで増えていきました。

コロナ禍で経済的に苦労している方がいることを鑑みると申し訳ない気持ちになります。ただ、マクロ的に見るとコロナ禍で家計の金融資産が膨れ上がっていることが日銀の統計で明らかになっているので、私と同じような境遇にある人は多いのかもしれません。

www.bloomberg.co.jp

 

コロナ禍で増えた貯金と、減った生活費を踏まえて計算すると、少なく見積もっても2年くらいは無収入で暮らしていけることがわかりました。

人が働く理由の全てが「食っていくため」ではないと思います。ただ、当時の私は給料以外の仕事の「やりがい」を見失いつつありました。そのため、「当面は働かずに暮らせる」という事実が、労働意欲を奪ってしまったのです。

 

私には縁がありませんでしたが、結婚・出産(子育て)などのライフイベントを積み重ねていれば、必要な生活費が増加し、配偶者・親としての責任も生じるので、こうはならなかったかもしれません。

一般的に、高い給料というのは労働者のモチベーション向上に寄与するものだと思います。それが裏目に出たのだとしたら、私が言うのもなんですが、皮肉な話ですね。