アラサー隠居

都心のサラリーマンから田舎の山麓に住む「隠居」に転身したアラサー男が、孤独な生活や持病のIBS(過敏性腸症候群)にちなむ体験談、本などを紹介します。

仕事から一時離脱するミニリタイア(mini-retirement)という生き方

一時的に仕事から離脱する「ミニリタイア」という言葉があることを知りました。アーリー(早期)リタイアに代わる新たなトレンドとして、米国で注目を集めているそうです。

 

以下のTED講演「The Power Of Time Off」では、グラフィックデザイナーのStefan Sagmeister氏が7年働くごとに1年ずつ取得している長期休暇の効果を説いています。日本語字幕も選択可能です。

www.ted.com

 

長期休暇のタイミングが「7年働くごとに1年」なのは、本来の定年退職後のリタイア期間である「65〜80歳の15年間」のうち、「65〜70歳の5年間」を先取りして現役期間中に配分するためです。本来の現役期間である25〜65歳の40年間に、1年間×5回の長期休暇を挟み込んで6等分すると、おおむね7年間になります。

 

Sagmeister氏は、長期休暇中は仕事を一切受け付けず、アイデア出しや興味の追求に徹底するそうです。2回目の長期休暇はインドネシアのバリ島で過ごし、現地の野犬からデザインのモチーフを考案したり、「瞑想」を始めたり、購入後4年も放置していた本を読むなどしました。

 

Sagmeister氏が最初に長期休暇を思いついたのは、本業とするデザイン制作のアイデアがマンネリ化してきたためです。

長期休暇後はデザインの質向上により料金アップに成功したことに加えて、長期休暇後の7年間にやった仕事の「全て」が、休暇中の1年間に考えたアイデアに基づくものだということを強調しています。つまり、長期休暇が単なる労働苦からのリフレッシュや逃避ではなく、キャリアアップのための強力な手段であることを示唆しています。

 

Googleで「mini-retirement」と検索すると、ForbesやBusiness Insiderといった米国メディアの記事が上位に表示されます。

www.forbes.com

www.businessinsider.com

 興味深いのは、ミニリタイアがアーリーリタイアに"代わって"、多くの人を惹きつける新らしい生き方であることを強調している点です。

 

Forbesの5 Ways To Plan A Mini-Retirement: How You Can Take An Extended Break From Work

not everyone wants to retire early.

(誰もが早くリタイアしたいわけではない)

と前置いた上で、

the growth of another trend in the U.S. — taking a mini-retirement.

(ミニリタイアという、別のトレンドが育っている)

としています。

 

Business InsiderのHow to tell you're on track for a mini-retirement, according to 2 people who have taken a break from their careers to travel

に至っては、記事の出だしから

Forget early retirement.

(アーリーリタイアを忘れろ)

と言い切っています。

 

日本語の「ミニリタイア」で検索しても、いくつか記事がヒットしますが、いずれも「アーリーリタイア」や「セミリタイア」の関連で「副次的に」取り扱われている記事が目立ちました。 

早期リタイアの実態、親にすすめるべき? | マイナビニュースでは 

 「ミニリタイア」という形のリタイアもあります。これは、一年のうち半分は働き、もう半分は余暇や好きなことに時間を使うというものです。いつでも就業できる資格を持っている、季節によって忙しくなる仕事をしているなどといった人なら可能になるスタイルですが、早期リタイアの中でも特殊な例です。

と、

アーリーリタイアとは?そのメリット・デメリット、必要な資金についてわかりやすく徹底解説! | フォーバル事業承継では

変わったところではミニリタイアもあります。これは、一年の半分は働き、残りの半分を自由に過ごすかなり特殊な形態のことをいいます。

と紹介されています。

しかし、アーリーリタイアの一種とされていることと、季節労働者のように扱われている点が、米国発祥の本来の「ミニリタイア」とは異なるように感じました。

他のネット記事も見ましたが、間違った日本語解説が「文脈を変えた転載」を繰り返されることで広がっているように見受けられます。

 

個人的には、Sagmeister氏の「定年退職後のリタイア期間を先取りする」という考え方に強く共感しました。

定年後のセカンドライフ謳歌しようにも、それまで生きているかわからない。高齢化社会の日本では、自分が何歳で定年になるかも不透明です。仮に金融資産が潤沢な状態で定年を迎えたとしても、加齢によって今より体力・気力ともに低下していますから、充実させられる自信がありません。

 

また、大変参考になったのは、長期休暇中における「計画」の重要性です。

Sagmeister氏は1度目の長期休暇を開始した当初、「自由な時間がアイデアを生み出す」と考え、計画を立てていなかったそうです。しかしこれでは、せっかくの時間を無碍にすることに気づき、小学校の時間割のようなスケジュール表を作るに至りました。

 

隠居生活を開始して約1カ月を終えた現在の私もちょうど、この「計画性」の重要さに気づき始めたところです。ある程度の「日課」は決めているのですが、時間配分のイメージはかなり漠然としており、日課を全てこなせない日も多いです。Sagmeister氏の経験を参考に、具体的なスケジュール表を書き出そうと思いました。