アラサー隠居

都心のサラリーマンから田舎の山麓に住む「隠居」に転身したアラサー男が、孤独な生活や持病のIBS(過敏性腸症候群)にちなむ体験談、本などを紹介します。

【IBS本レビュー】低FODMAP食の教科書的な「自分で治す過敏性腸症候群の本/江田証」

 

 

 過敏性腸症候群IBS)や低FODMAP食について、多くの著作を持つ医師・江田証氏が監修した本。IBSが発症する原理や、低FODMAP食の具体的な実践方法などが収められている。全ページカラーでイラスト多めなので、素人にもわかりやすく感じた。食品を高・低 FODMAPで分けた一覧図もあり、低FODMAP食の教科書的に利用できそうだ。

 

 FODMAPとは4種類の発酵性糖質を表す言葉だが、小腸での消化のされ方は種類によって異なるようだ。オリゴ糖はそもそも、IBS患者に限らず、誰もが消化できないらしい。果糖は、ブドウ糖よりも濃度が高くなると吸収が遅くなるので、果糖とブドウ糖のバランスが大事とのこと。こういった消化の仕組みが丁寧に解説されている。

 

 同書によれば、IBS患者は、細胞のエネルギー源で、感染症予防などにも作用する「短鎖脂肪酸」をつくりやすい腸内細菌を持っている。IBS患者が一般的な人にとって良いとされている食物繊維や発酵食品を食べると、短鎖脂肪酸が「過剰に」つくられて腸内が酸性に傾き、ガス・下痢などの症状が出るとのこと。

 

 私の理解が正しければ、IBS患者が、体に良い作用のある短鎖脂肪酸をつくりやすいのは、ある意味で「強み」ではないか。食物繊維や発酵食品といった、一般的な人が「食べなくては健康を維持できない」ものを、IBS患者は「食べなくて良い」とすれば、生物的には「強い」と言えるのではないだろうか。私は「お腹の弱さ」にコンプレックスを感じているが、必ずしも引け目を感じる必要はないのかもしれない。

 

 同書で紹介されている低FODMAP食の実践方法は、まず3週間、徹底して高FODMAP食品を排除する。それから1週間ごとにフルクタンを含む食品→ガラクオリゴ糖を含む食品・・・と順番に試し、食べても問題のない糖の種類および食品を見極めていく。「パン2切れまたはにんにく1片」など、試すべき食品と分量が具体的に書かれていたので、実践しやすいと感じた。

 

 巻頭でコラム的に書かれている「あの偉人たちも過敏性腸症候群だった」が地味に面白い。江田氏いわく、石田三成とベートーベンはIBSの可能性があるらしい。松尾芭蕉が下痢で亡くなったのは私も知っていたが、これはIBSでなく食中毒との診断だ。

 

 なお、同書は現在、電子書籍でしか出版されていないようで、紙の方はAmazonの中古市場で3,000円以上した。そのため私はKindle版の電子書籍で購入したが、各ページがテキストも含めてそのまま画像化されており、テキスト検索やマーキングができず、不便に感じた。とはいえ電子書籍であればいつでもスマートフォンで見ることができるので、外食先やスーパーで高・低FODMAP食品の一覧図を参照したい時などに便利そうだ。