アラサー隠居

都心のサラリーマンから田舎の山麓に住む「隠居」に転身したアラサー男が、孤独な生活や持病のIBS(過敏性腸症候群)にちなむ体験談、本などを紹介します。

ちょっと苦言【IBS本】「いちばんわかりやすい過敏性腸症候群/伊藤克人」

 

 

 本のタイトル通り、イラスト多め、文字少なめで「わかりやすさ」に重点を置いている印象。IBS過敏性腸症候群)の主因が「ストレス」にあることを前提にしており、その対処法として「森田療法」や認知行動療法自律訓練法などを簡単に紹介している。低FODMAP食についても一部、触れているが、内容が間違っているように見受けられた。

 

 低FODMAP食について言及があるのは、大腸内視鏡検査の説明のくだり。

大腸内視鏡検査の前には、念のため高FODMAP(フォドマップ)食は避けるのがいいでしょう。

 とあるものの、なぜ検査前だけ低FODMAP食を推奨するのか、何が「念のため」なのか、説明がなく理解に苦しむ。

 

 また、その後のくだりで

 低FODMAP食は、プロテニスプレイヤーのジョコビッチが、アスリートたちを悩ませる過敏性腸症候群に効果的な食事療法として実践し、広く認知された食事療法です。 

 とあるが、ノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic)が実践したのは低FODMAP食ではなくグルテンフリー食ではなかっただろうか。

 

 しかも、同じページ内に書かれている「避けるべき食べ物」という欄には、

(1)種のある野菜、果物(トマト、キウイなど)

(2)繊維の多い食べ物(ゴボウ、トウモロコシなど)

 など、FODMAPの概念とは関係ないカテゴリ分けで食品が羅列されている。

 

 1ページ内に疑問を感じる箇所がこれだけ多いと、他のページに書かれている心理療法なども本当に正しいのか、怪しく思えてしまう。

 

 監修医師の伊藤克人氏のプロフィールを読むと、

専門は心身医学、森田療法(『MORITA』)。産業医学(労働衛生コンサルタント)で、職場のメンタルヘルスに造詣が深い。

 とある。「消化器」というよりは「心療」寄りの人物に見受けられ、そのためストレス対処法にフォーカスした本になったのだろうか。

 

 IBSと疑わしい症状が出てから日が浅く、「病気についてちょっと知りたい」という人には良い本かもしれない。が、私のようにIBSと長年の付き合いで、精神以外の要因を疑っている人間には参考にしづらいと感じたのが正直なところ。

 

発行年:2020年9月(初版を読了)