アラサー隠居

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超常現象への取材姿勢に感心【読書ノート】「臨死体験/立花隆」

 

 

 「臨死体験」とは、事故や病気で危篤に陥った人がしばしば体験する不思議な現象のこと。死んだ先祖や神と会話したという人もいれば、魂が肉体から体外離脱して宇宙を自由に飛び回ったという人もいる。体験者の多くが、それは「夢」とは明確に違ったものだと認識し、「死後の世界」を垣間見たものだと主張する人もいる。

 

 臨死体験は多くの場合、本人にとって気持ちのよいもので、それによって「死」を恐れなくなる人も多いんだとか。かといって体験者は死に急ぐわけではなく、「生きているうちは、生きているうちにやれることをやりたい」といったポジティブな感覚らしい。

  

 本の内容そのものも面白いが、臨死体験の一種である「体外離脱」など、既存の科学では解明されていない「超常現象」に対する立花隆氏の取材姿勢に感心させられた。時に「オカルト」と揶揄される現象に対して盲信的ではなく、むしろ懐疑的だ。かといって鼻から否定するのではなく、臨死体験者や、それを専門に研究する科学者らに入念なインタビューを重ね、噛み砕いて読者に説明してくれる。

 

 私のように科学を知らない人間は時に、「科学で解明できない現象は嘘だ」と思い込んでしまう。しかし実際には、科学で解明できている世の中の現象はほんの一握りで、まだまだわからないことのほうが多い。引力も電気も、科学者が解明してから宇宙に誕生したわけではない。あくまで「現象」が先にあって、それを理論的に説明・証明するのが科学なのだと思う。「死ぬ瞬間」の著者であるキューブラー・ロスなど、「死後の世界」や体外離脱を真面目に信じている医師や科学者は少なくない。

 

 というのは立花氏の受け売りで、氏は本の中で以下のように書いている。

 

  科学というのは、まだあまりにもプリミティブな発展段階にある。科学をよく知らない人は、現代科学が達成した華麗な業績の数々にただ目を奪われているばかりだが、私は最近サイエンス関係の取材が多いのでよくわかるのだが、科学はまだ知らないことばかりなのである。科学は自然の謎を解くことに挑戦しつづけてきたが、解かれた謎はほんの一部で、大部分はまだ依然として謎のままに残っている。