アラサー隠居

都心のサラリーマンから田舎の山麓に住む「隠居」に転身したアラサー男が、孤独な生活や持病のIBS(過敏性腸症候群)にちなむ体験談、本などを紹介します。

無職の髪のエトセトラ

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なれるか、仙人ヘアー

 髪が、伸びた。切らないから当然である。4月に隠居生活を始めてから、早くも5カ月(!)が経過した。人の髪の毛は1カ月に約1cm伸びるらしいので、サラリーマン時代から5cmくらいは長くなった計算になる。前髪は引っ張れば口まで届くし、サイドは耳をすっぽり隠す長さまで伸びた。

 

 なぜ伸ばしているのか。まず、私は昔から美容院・床屋というのがあまり好きではない。1時間弱もじっと座って、他人に頭を触られる。店員との会話に妙に気を使う。わざわざ予約をして、ピッタリその時間に行かなくてはいけない。IBS過敏性腸症候群)の私にとっては、施術中に腹を壊さないかという心配もある。

 

 それでもサラリーマン時代はサラリーマンとしての体裁を保つ必要があるので、本当は1カ月に1回くらいの頻度で行くのがベストだと思いつつ、実際は2カ月に1回くらいの頻度で通っていた。つまり、元々嫌々通っていたのだから、無職になって体裁を保つ必要のなくなった今、苦労してまで行くことはなくなったのだ。もちろん、金の問題もある。

 

 これらは髪を伸ばしている「消極的な理由」だが、積極的な理由もある。山で孤独な生活を送るくらいだから、仙人に憧れているのだ。ベタだが、仙人は長髪(もしくはハゲ)のイメージがある。せっかくサラリーマンとしての体裁を保つ必要性から解放されたので、とことん伸ばしていみたい、という野球部を引退した中高生のような気持ちもある。

 

 ところで、一日中家にいる生活をしていると、人の抜け毛の多さに驚かされる。一日一回は掃除機をかけているのだが、気がつくと部屋中に自分の髪の毛が落ちている。床が白っぽい色で、髪が長いのでなおさら目立つ。

 

 犬猫を飼うと、その抜け毛の多さに驚かされるが、人もそれなりみたいだ。そして、風呂で髪を洗うという行為が、ペットでいうグルーミング(毛繕い)を兼ねていることに気付いた。無精者の私は、特に体が汚れていなければ風呂に入らない日もあるし、入ったとしても面倒なので髪を洗わない日もある。髪を洗わなかった翌日と、洗った翌日では部屋に落ちる毛量が圧倒的に違う。数日洗わないと、部屋中が犬猫も顔負けの毛だらけ状態になるのだ。

 

 また、ジョギング時など、長髪が「邪魔だ」と感じる時にヘアゴムで使うようになってから、なぜ女性の住む家にはヘアゴムが点在しているのかがわかるようになった。今までは、決まった物を決まった場所に整理整頓できない、だらしなさの象徴だと思っていたが、それは違っていた。

 

 意外と、髪を縛りたい時、解きたい時というのは突然やってくる。縛りたい時はスポーツ時など決まりきったシチュエーションの時もあるが、家にいて何となく「髪が邪魔だと感じた時」、「集中したい時」、「気分を変えたい時」などは突然やってくる。また、髪を解きたい時というのも、縛りたい時と同様に気分次第で突然やってくる。後ろで結んでいると、ベッドに寝そべったり、車のシートに寄りかかったりする時にあたって邪魔なので解く必要が生じる。

 

 こうした突発的なタイミングに対処するためには、自分の手首、車のダッシュボード、自分の部屋のテーブルや洗面台、人の家、仕事場など、とにかく自分の行動範囲、いつでも手の届く場所にヘアゴム置き場を複数確保しておいて、いつでも出し入れできる状態にしておいた方が合理的のようだ。

 

 髪を伸ばすことで、女性、果ては犬猫の気持ちまでわかるようになった(つもりになった)。無職になってから気付かされることは多い。