He is reclusive

バンライフ、旅、持病のIBS(過敏性腸症候群)、読んだ本などについて

車上生活=不幸とは言い切れない【読書ノート】ルポ車上生活/NHKスペシャル取材班

 

 

 NHKスペシャル取材班が「NHKスペシャル」と「クローズアップ現代+」では使いきれなかった素材を書いた本。2つの番組ではシリアスなストーリー展開が求められたようだが、本書では車上生活者の明るい一面なども紹介されている。

 

 登場する車上生活者の事情はさまざまだ。幼い子供連れの家族、配達業を請け負いながら全国行脚する夫婦、他人同士で共同生活する職人たち。「世間と距離を置きたい」、「家にいると気分が落ち込んでくる」といった理由で単独の車上生活を続ける人らには私も共感した。

 

 社会問題の提起が念頭にある取材班は、レジャー目的の車上生活者と区別して「車上生活を選ばざるを得ない人」を探すのだが、取材を進めるうち、(レジャー目的でなくても)好きで車上生活を送る人もいることに気付いていく。現に車上生活を能動的に選んでいる私としては、車が世間からの「逃げ場」として機能してくれているのはありがたいことだと感じる。連夜、道の駅を渡っていると、まれにだが、24時間解放された休憩所やトイレで夜を明かしていると思われる人を見かける時がある。そういう人は家どころか、自分の車すら持つことができないのだろうか。ただ、必ずしも「車上生活=家に住むより不幸」と言い切れないように、「ホームレス=車上生活より不幸」と決めつけてしまうのは早計かもしれない。