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歩き遍路 野宿場所の探し方と装備

 2022年10月下旬〜12月初旬の歩き遍路・通し打ちでは、基本的に野宿でしのぎ、たまに宿に泊まるというスタイルで歩いた。機動性を重視してテントは持ち歩かず、公園のベンチなどにマットと寝袋を敷いて寝たが、虫対策や防寒、プライバシー確保などの点からテントが欲しいと感じたのが事実だ。

 

 

野宿場所の候補(ヘンロ小屋、道の駅、通夜道、公園)

 野宿場所の候補になるのは、ヘンロ小屋、道の駅、お寺の通夜堂、公園などだ。

 

 「ヘンロ小屋」は、巡礼者のために地元の方々が好意で設置してくれている休憩所。その多くは公園の東屋のような構造で、屋根とベンチがあるので野宿しやすい。私は野宿場所を選ぶ際に「夜もトイレが使える場所」を条件にしていたので、トイレのあるヘンロ小屋を選んで使わせてもらっていた。「野宿禁止」とされているヘンロ小屋もあるので、注意が必要。

 

5日目に泊まったヘンロ小屋11号

 

 トイレ確保という点では、道の駅には必ず24時間使用可能で、それなりにしっかりしたトイレがあるので心強い。大抵の場合はベンチや屋根もある。ただ、夜間も人や車の往来があるので、人目やエンジン音が気になることがあった。逆にセキュリティ面では人気のない公園などよりは安心かもしれない。

 

11日目に泊まった道の駅大山

 

 「通夜堂」は、札所などのお寺が歩き遍路のために一夜の宿を無償提供してくれる場所だ。6番・安楽寺の楼門2階のように半屋外の場所もあれば、物置小屋を貸してくれたり、立派な畳の部屋を提供してくれたり、お寺によってさまざま。トイレや、場所によってはコンセントも使わせてもらえるので非常にありがたい。屋内の通夜堂に泊まるのであれば厳密には「野宿」とは異なるが、多くの場合、清潔な布団までは無いので、自分の寝袋が必要になる。通夜堂を使いたければ夕方、納経所の方などにお願いすれば案内してくれる。

 

6番・安楽寺は楼門2階を宿泊場所として提供してくれる

 

 公園は、トイレとベンチがあり、雨が心配な日は屋根がある場所を探して使わせてもらっていた。道路沿いに設置されていることの多いヘンロ小屋や道の駅と比べると、夜間は静かで落ち着くので、旅の後半は公園をよく好んで泊まっていた。緑が多い場所は、雨でなくても夜露・朝露で装備が濡れるので注意が必要だ。

 

20日目に泊まった高知県宿毛市内の公園。朝は濃霧で装備が濡れた

 

野宿場所の探し方

 その日の野宿場所を探すにあたっては、住職の萩森氏が公開している「萩森リスト」(巡礼宿泊情報)にお世話になった。萩森氏が歩き遍路のために善意で公開してくれているであろう大変有用なリストだが、必ずしも全ての場所が最新情報にアップデートされていないためか、リストに掲載されている場所に実際行ってみると、コロナ禍で閉鎖されていたり、「野宿禁止」とされている場合も一部あった。

 旅に慣れてきた中盤からは、萩森リストを引き続き参考にしながら、前日の晩に、次の日野宿できそうな場所に目星をつけるようになった。ガイドブック「四国遍路ひとり歩き同行二人(地図編)」には、ルート上にある道の駅やトイレ付きヘンロ小屋、公園が載っているので参考になる。

 野宿に適した公園を探すにあたっては、スマホGoogle Mapも活用した。航空写真やストリートビューを見ればその公園の東屋、ベンチ、トイレの有無などがわかる。

 

野宿の装備

 野宿用の装備には以下を用いた。

 

シュラフ(寝袋):モンベル ダウンハガー800 #1

 寒がりなので、万全を機して氷点下まで耐えられる冬山用のモデルを持って行った。11月中旬くらいまでは明らかにオーバースペック(暑すぎる)だったが、12月初旬くらいになると平地で丁度良いくらいで、標高の高い場所や風の強い場所では「ギリギリ耐えられる」という感じだった。四国の冬は意外と寒いのだ。

 同商品は左ジップと右ジップの2種類あるが、シュラフカバーを併用する場合はそれに合わせるべきだろう。私は間違って左ジップを買ってしまった。ISUKAシュラフカバーが右ジップなので、一緒に使えないことはないが少し不便だ。

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シュラフカバー:ISUKA ゴアテックス UL ワイド

 特にテントなしの場合、防水性のシュラフカバーはあった方が良い。芝地などで野宿する場合は朝露から寝袋を保護してくれる。流石に雨ざらしの場所で寝たことはないが、雨の日に公園の東屋など屋根のある場所で寝る際も安心だ。寝袋への汚れも防いでくれるし、風の強い寒い日はウィンドブレーカーのように機能してくれた。

 

マット:モンベル フォームパッド150

 耐久性と軽さを重視して、エアーマットではなくクローズドセルを選んだ。少しでも荷物を小さく軽量にするため、頭部まで届く180cmではなく、150cmのモデル。はみ出した頭部には、レインウェアを畳んだものを枕代わりに敷いた。

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ヘッドライト:PETZL ティカ

 野宿場所は灯りがないことが普通なので、ヘッドライトは必需品だ。野宿しなくても、日没後や早朝の行動のため歩き遍路にヘッドライトはあったほうが良いかもしれない。同商品は単4電池3本で稼働するので、予備の電池は常に持ち歩くようにしていた。

 

バックパックモンベル アルパインパック60

 もともと持っていた安物の古いバックパックに不都合が生じたので、旅の途中、高知市内のモンベル直営店で購入した。トップリッドを取り外してショルダーバッグにできるので、小物を取り出す機会の多い歩き遍路には都合が良い。荷室の防水性が高く、雨の日もザックカバーなしで行動できる(トップリッド・ショルダーバッグの防水性は高くないので、雨の日は荷室にトップリッドを収納する必要がある)。

 普段は首からぶら下げている一眼レフを収納しても程よい余裕があったので、容量としては60Lが丁度良いと感じた。テントや調理器具を持ち歩いている別の野宿遍路の方のバックパックも60Lだった。

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テントが欲しくなった

 途中で購入しようか迷って結局買わなかったが、虫対策、防寒、プライバシー確保などの点でテントを欲しいと感じた。

 

 旅を始めた10月下旬から11月中旬くらいまで、毎晩のように蚊に悩まされた。彼らは丁度、私が野宿場所に着く日没前後に最も行動が活発になる。そして夜通し、痒みと不快な羽音で私の眠りを妨げた。シュラフカバーを頭まで被っても彼らの攻撃を防ぐことはできなかった。

 また、野宿場所でゴキブリを見かけることも多かった。休憩所には休憩者が残す食べカスなどがあり、手頃なすき間も多いので、棲むのに都合が良いのだろう。何か実害があったわけではないが、彼らの気配にビクビクしながら寝る夜があった。テントがあれば、蚊やゴキブリに煩わされず安心して寝ることができたのではないだろうか。

 夜間の気温がグッと下がる11月中旬以降になると、虫がいなくなる代わりに、寒さが身に染みるようになった。冬用の寝袋を持っていたので、寝袋にくるまって寝るときは良いのだが、それまでが寒い。特に風のある日は体感温度が低くなるので、テントを恋しく感じた。

 客観的に見れば野宿者が地元住民にとって怪しい存在であって、野宿者側から周りの目線を気にするのはおこがましいかもしれないが、人目に自分の寝姿をさらすというのは落ち着かないものだ。プライバシー確保という意味でもテントがあったほうが心地よいだろうと感じた。

 

 ただ、テントで野宿していた別の歩き遍路の方は、テントを張ると朝露を乾かすなどの撤収作業に時間がかかり、朝の出発が遅れがちになると言っていた。そのため、テントを持っていても張る時と張らない時で使い分けていたそうだ。

 

 重さもネックになるが、最近の一人用テントが軽量なモデルだと1.5kg以下であることを考えると、次に歩き遍路をする機会があればテントを携帯したい。