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北へ(7日目)加茂水族館でクラゲに学ぶ

 クラゲをライトアップした「クラネタリウム」で有名な、山形県鶴岡市立加茂水族館に行ってみた。課外授業で来ている元気な小学生の一団と入場時間が被ってしまったので、やり過ごすために館内の説明書きを熟読していたら、クラゲの見た目だけでなく繁殖方法にも神秘性を感じた。

 

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シロクラゲ

 クラゲは「ポリプ」というイソギンチャクのような形態から生まれるそうだ。ポリプはクラゲの幼生でも成体でもなく、ポリプはポリプで分裂して増殖する。ポリプから発生したクラゲは雌雄で交配し、新たに、ポリプに成長する種のようなのを生む。頭がこんがらがってしまいそうだが、下記のリンクの、クラゲとポリプの関係を植物で例えた解説がわかりやすかった。ポリプは「茎や葉」のようなものであり、クラゲは「花」のようなものである。このように理解すれば、クラゲは遺伝子交配のための一形態のように思えて、寿命がポリプと比較して短いことも納得できる。ただ、それぞれが肉体的に切り離されているという点が植物とは異なる。

 

myaqua.jp

 

 人間の考え方では、肉体的に切り離された存在は、それぞれが別の「個」であるように見える。しかし同じポリプから生まれたクラゲたち、あるいは、同じポリプから分裂したポリプたちは、それぞれが別々の存在なのだろうか?肉体がつながっているから同一の存在、肉体がつながっていないから別の存在と言い切れるのだろうか。クラゲの不思議な生態に触れると、ある種の哲学的な思考を巡らせずにはいられない。

 

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直径5メートルの「クラゲドリームシアター

 また、館内には「クラゲに関する100のQ&A」みたいな展示があって、特に面白かった話を紹介したい。

 

・クラゲの名前の由来には諸説あるが、「暗げ」「暗気」が由来との説がある。私のような陰キャの仲間みたいだ。ただ、江戸中期の辞書には「目がないのでクラゲの世界は真っ暗なはず。だから、くらき・くらげ」と書かれているそうな。これが本当だとすれば、その生物の見た目や習性ではなく、「生物側の視点」が名前の由来になっているのは非常にユニークだと思う。

加茂水族館がたくさんのクラゲを展示するようになったのは、倒産の危機にあった1997年にサンゴの水槽から偶然あらわれたサカサクラゲを展示したところ、客から好評だったのがきっかけ。つまり、2021年の今まで加茂水族館が存続しているのは、クラゲのおかげらしい。ちなみに館長は非常に危険なカギノテクラゲに刺されて3日入院したことがあるんだとか。

 

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クラゲ以外の展示もある。写真はシロザケ。

 この日は加茂水族館を見た後、新潟方面に日本海沿いを南下したのだが、海上から吹き付ける風雨が激しすぎて参った。当然ながら海も大しけで、一度、堤防に打ちつけた波が道路まで舞い上がって私の愛車をもろに襲ったので、塩水を洗い流すためにガソリンスタンドのコイン洗車を使う羽目になった。沿岸部から逃れた後も風雨は止むことがなかったが、新潟県村上市で一瞬の晴れ間が見えた時、ダブルレインボー(二重の虹)が出現した。ダブルレインボーに遭遇した人には幸運が訪れる、と言われるらしい。しかし私は、ダブルレインボーを見れたことそれ自体が幸運だと感じる。

 

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厚い雲の中にあらわれたダブルレインボー